大豆アレルギーとは?いろいろな食品に潜んでいる大豆
大豆といえば、醤油、味噌、豆腐、納豆、きなこなど、日本人にはとっても身近な食材ですね。
そんな日本人の食生活に欠かせないといっても過言ではない大豆でも、アレルギーは起こります。
大豆アレルギーとは
かつては5大アレルギーのひとつ
大豆は、鶏卵・牛乳・小麦・米と合わせて「5大アレルギー」とかつて呼ばれていました。
現在ではアレルギー発症物質としては2%未満と、割合が少なくなっています。
近年、木の実類などの新しいアレルギーが急激に数を増やしてきており、アナフィラキシーなどの重症化リスクも大きいことが注目されています。
元々重症化リスクが低く、アレルギーがあっても食べられることが多かった大豆がアレルゲンとして取り沙汰されることは、かなり少なくなりました。
アレルギー表示義務は「推奨」項目
大豆は、特定原材料に準ずるものとして、アレルギー表示の推奨21品目に入っています。
表示義務はないため、原材料に使われていてもアレルゲンとして表示しなくてもいいのです。
その場合、大豆アレルギーのある方はご自身で内容を確かめなければならず、除去するのに労力が必要になります。
強いショックなどは起こしにくい食物
大豆は「5大アレルギー」と呼ばれていた頃から、その症状は重くなく、血液検査でアレルギー反応がある人も食べられることが多かったそうです。
重篤な症状を引き起こすアナフィラキシーショックを起こす確率も、他の食品と比べると格段に低くなっています。
赤ちゃんの頃に大豆アレルギーを発症した子供は、その約8割が3歳までに食べられるようになるというデータもあります。
全アレルギー原因食品の中でも、比較的治療を終えやすい食品といえそうです。
発酵した大豆(醤油、味噌、納豆など)は食べられることが多い
大豆が原料の加工食品の中でも、醤油、味噌、納豆などは、大豆アレルギーの人でも食べられることが多い食品です。
その理由は、発酵。
発酵とは麹菌や納豆菌などの微生物がタンパク質や糖質を分解し、旨味の素を作り出す現象のこと。
微生物が、アレルゲンであるタンパク質を分解してしまうため、食べてもアレルギーを発症しにくいのです。
微生物のチカラ、すごい!
大豆油も、タンパクは少ないけれど…
大豆から搾った油を精製してつくる大豆油も、醤油や味噌など発酵食品と同様にアレルゲンが除去されている場合が多いといいます。
しかし、過去に「大豆油を使ったスナック菓子を食べてアレルギー症状を発症した」という事例もあったそうです。
そのため、大豆アレルギーに対しての大豆油の取り扱いについては、お医者さんたちの間でも見解が分かれているようです。
大豆アレルギーに隠れた大豆以外のアレルギー
大豆油の酸化物過剰摂取による症状
「大豆油にはアレルゲンは含まれないため、症状を発した原因は他にある」とする見方の一つに、『酸化油の過剰摂取』が挙がります。
『大豆油に含まれるリノール酸の過剰摂取による湿疹の悪化』だという推測もあります。
こうしたことが原因の場合、これらの症状を大豆アレルギーと呼ぶのは正式ではない気がします…。
このような「正式ではない大豆アレルギー」はほかにもあります。
納豆アレルギー
発酵してアレルゲンが分解されているはずの納豆を食べてアレルギーを発症する人がいます。
この場合は大豆アレルギーとは区別された「納豆アレルギー」として扱われます。
発症原因は、なんとクラゲ!
発症患者の約8割がダイビングやサーフィンなどのマリンスポーツの愛好家だそうです。
納豆アレルギーの原因物質は、大豆タンパクでも微生物でもなく、ポリガンマグルタミン酸(PGA)という物質。
納豆の「ねばねば」の部分です。
クラゲが毒針を刺すときにこのPGAを作り出すらしく、サーファーやダイバーが何度もクラゲに刺されているうちにPGAに対する抗体が体内にできてしまい、納豆を食べたときに「ねばねば」PGAに反応してアレルギーを発症します。
このPGA、現在では調味料や化粧品などの添加物として使われていることもあるそうなので、納豆アレルギーの人は成分表を注意して見る必要がありそうです。
口腔アレルギー症候群
もうひとつの「正式ではない大豆アレルギー」は、花粉症の人が豆乳を飲んだときに発症することが多い「口腔アレルギー症候群」というものです。
花粉症の人は、花粉のアレルゲンに対する抗体を持っています。
いろいろな花粉の中でも、カバノキのアレルゲンと大豆のアレルゲンの構造が似ているため、大豆製品を摂取したときにアレルギー反応を起こしてしまうそう。
こちらは、豆乳ややわらかい豆腐など、吸収しやすい形状の大豆製品で起こりやすいそうで、「大豆や油揚げなどを食べても平気なのに、豆乳を飲んだときだけ痒くなる…」という人は、大豆アレルギーではなく口腔アレルギー症候群を疑ってみるといいかもしれません。
この口腔アレルギー症候群、アレルゲンが触れた部分の痒みや痺れ、腫れが起き、大豆アレルギーでは起きにくいアナフィラキシーを起こすこともあるそうなので、ちょっと怖いですね。
大豆はいろいろな代替食品に使われている
元来、重篤な症状を引き起こしにくく、子供の頃に治りやすいといわれる大豆アレルギー。
そんなやさしい食材である大豆は、カルシウムやタンパク質などの栄養も豊富です。
いろんな形状にしやすいこともあり、様々な食品の代替として使われています。
牛乳の代替品として
豆乳は、牛乳の代替食品として使われることが非常に多いです。
tontonのパンやクッキーも、クリームパンのクリームやクッキー生地には牛乳の代替えとして豆乳を使用しています。
ホイップクリームも大豆由来の植物性ですし、クロックムッシュやマルゲリータ風ピザの素で使っているチーズクリームも豆乳から作られているものを使用しています。
肉の代替のタンパク源として
もともと『畑の肉』の二つ名を持つ大豆。
近年では『畑の肉』を本物の肉のように加工した『大豆ミート』というものが開発されています。
従来はベジタリアンやヴィーガンといった菜食主義の人向けの食品といったイメージでしたが、タンパク源の新たな選択肢の一つとしてジャンルを確立しようとしています。
大豆ミートが世に出てくる前にも、「一度冷凍した豆腐を油で揚げるとまるで唐揚げのようになる」という裏ワザ、聞いたことありませんか?
タンパク質が豊富な大豆というのは、お肉の代替品としてポピュラーな食材といえそうです。
食品添加物として(レシチン)
大豆がよく使われる食品添加物といえば、「大豆レシチン」が挙げられます。
これは乳化剤(水と油を均一に混ぜ合わせるためのもの)としてよく使われます。
画像は乳製品で乳化を表していますが、「乳化」作用自体に乳成分は含まれていません。
tontonでも、シュガークロワッサン、チョコクロワッサン、メープルデニッシュなど、クロワッサン系・デニッシュ系の折り込み油脂に大豆レシチン由来の乳化剤を使用しています。
原材料名に乳化剤(大豆由来)と記載されており、製品に対して、乳化剤(大豆由来)が約0.03%配合されています。
醤油や味噌が大丈夫であれば召し上がっても問題はないかと思いますが、あくまでお客様判断となります。
大豆以外の豆は食べられる?
大豆はダメでも、他の豆は食べられることが多いそうです。
小豆、白いんげん豆は食べられる可能性が高いです。
Yahoo!知恵袋で、小児科の先生が大豆アレルギーについての考え方が記載されています。
専門医の診断でアレルギー反応がある食物でも、食べてみたら反応が出なかったり、反対にアレルギーの反応が出ていないのに湿疹が出たりすることがあります。
少しずつ試してみて、どんな食物に反応するのかを知っておくことが最初の一歩なのかもしれません。
意外な食品に注意
種類の違う豆類は食べることができそうですが、意外なところで「もやし」に注意が必要です。
普段スーパーで食べたり給食で扱われたりする「緑豆もやし」や「ブラックマッペもやし」は豆の種類が違うため、食べても反応は出ません。
しかし、韓国料理のナムルでよく使われる「大豆もやし(まめもやし)」は大豆が新芽を出したものなので、除去が必要です。
そのほか、正月のおせち料理「黒豆」には黒大豆が使われていますし、仙台名物「ずんだ」は枝豆(未熟な大豆)で作られています。
色も形もさまざまな大豆、アレルギー表示「推奨」項目であることからも、相当気をつけていないと、簡単に口に入ってしまいそうですね。
大豆を使ったtontonのパン
大豆そのもの、または大豆タンパクを使用
- 豆乳クリームパン、【ミニ】豆乳クリームパン(豆乳クリームに使用)
- 元祖チョココルネ、【ミニ】チョコクリームパン(チョコクリームに使用)
- プレーンクッキー、メープルクッキー、チョコチップクッキー(豆乳を使用)
- ホイップクリームパン、【ミニ】ホイップクリームパン、とちおとめいちごジャムとホイップクリームパン、リッチなクリームあんパン、豆乳ホイップクリーム(ホイップクリームに使用)
- ウインナーパン、【ミニ】ウインナーパン、
ウインナーコーンマヨ、【ミニ】ウインナーコーンマヨ、ウインナークロワッサン(ウインナー、半固形状ドレッシングに大豆タンパクを使用) - 焼きカレーパン(カレーに使用)
- ハムマヨコーン、タルタルコーン(半固形状ドレッシングに使用)
- クロックムッシュ、【ご案内メール限定商品】マルゲリータ風ピザの素(チーズ風クリームに使用)
大豆油を使用
- デニッシュ食パン、シュガークロワッサン、メープルデニッシュ、チョコクロワッサン、プレーンクロワッサン、
ウインナークロワッサン、サンドイッチ用クロワッサン、ちぎりパンデニッシュ、いろいろ一口パン、お子様ラスク、きなこデニッシュラスク、チョコデニッシュラスク、沖縄黒糖デニッシュラスク(油脂に使用) 【ミニ】ツナとほうれん草のパン(マグロ油漬に使用)
大豆は使用していないが、小豆を使用
- 北海道こしあんパン、【ミニ】北海道こしあんパン
大豆は使用していないが、白いんげん豆を使用
- メロンパン、【ミニ】メロンパン
さつまいもあんパン、【ミニ】さつまいもあんパン
大豆油由来の加工助剤を使用
tontonでは、すべてのパンに大豆油由来の加工助剤を使用しています。
冷凍したパンが硬くなってしまうのを防ぐために、生地に酵素を配合しているのですが、酵素を守るために大豆油が主成分の加工助剤を使っています。
アレルギー表示「大豆」は必要なのか?
使用量があまりにも微量なため、原材料欄に食品添加物としての記載はしなくてもよいことになっています。
しかし食品表示法では、使用量が微量であっても、原則としてアレルギー表示をしなくてはいけません。
なので、tontonのパンのアレルギー表示にはいつも、すべての商品に「大豆」にチェックが入ってしまう状態でした。
そんな中、お客様からご連絡をいただきました。
大豆にアレルギーがあります。熱を加えたり味噌や醤油は大丈夫なのですが、大豆そのものや豆乳に反応します。アレルギー表示の「大豆」は、豆乳なのか、豆腐なのか、醤油なのか、味噌なのか、もう少し細かく表示してくださると助かります。
豆乳も豆腐も醤油も味噌も使っていないパンにも、すべてアレルギー表示「大豆」と表記されているので、大豆アレルギーのお客様からしたら「私が本当に食べられるパンはどれなの!」というお気持ちだと思います。
そこで、酵素を製造しているメーカーに「大豆油を使用しないか、他の油脂で代替してほしい」とお願いしてみました。
ですが、「原材料を変更することは難しい」との返答が…
何度も食い下がりましたが、原材料の変更は叶いませんでした。
酵素における大豆油の使用量はあまりにも微量であることと、大豆油を生成する際にタンパク質は除去されていることより、大豆タンパクが検出されるとは到底思えません。
しかし、食品表示法のねじれから生じてしまう、アレルギー表示「大豆」問題…
ならば、検査機関で分析してもらって、もし大豆タンパクが検出されなければアレルギー表示しなくてもいいのでは?
そう考えて、tontonのパンに大豆タンパクが検出されるかを日本食品分析センターで分析してもらいました。
大豆由来タンパク質:検出せず!
この検査結果を持って管轄の保健所に確認に行ったところ、消費者庁に問い合わせてくれて、大豆油由来の加工助剤を使っている商品についてはアレルギー表示に「大豆」を記載しなくてもいいことになりました。
やったー!うれしい!
これを受けて、大豆そのものを使っている商品と、油脂に乳化剤(大豆レシチン)を使っている商品以外の商品は、アレルギー表示から「大豆」の表示を削除しました。(原材料は一切変わっていません)
一見すると、法律の穴をすり抜けて、ギリギリのことをやっているようにも思えます。
しかし、「安全」を熟慮しすぎるあまり、本来なら食べられるのに食べてはいけないと思わせる表示にしなければならないのも、問題があるのではないでしょうか。
いちばん大切なことは、お困りの方の問題を解決すること。
大豆アレルギーの方はそう多くないのかもしれませんが、食品に制限がかかることはストレスです。
大豆アレルギー対応パン、集めました
「大豆アレルギー対応」のパンを集めたページを作ってありますので、「うちの子はどのパンが食べられるのかわからない」「私が食べられるパンを一覧で見たい」という方は、こちらのページから商品をお選びくださいね。
アレルギー表示に「大豆」と記載されていることで、食品選びに制限がかかっている方がいらっしゃいましたら、tontonのパンがお役に立てることを願っています。