牛乳アレルギーとは?パンやお菓子に重宝される乳製品
今や52万人超もの子供たちが食物アレルギーを持っているといわれている日本。
2004年32.9万人→2013年40.7万人→2023年52.7万人と増加の一途を辿り、その数は19年前の1.6倍にもあたります。
中でもやっかいなのが「牛乳アレルギー」
牛乳を原材料とした食品や添加物がアレルギーを引き起こすことで問題になっています。
牛乳アレルギーの原因
牛乳には20種類以上のタンパク質が含まれていますが、アレルギー反応を誘起しやすいのは、主にカゼインとβ-ラクトグロブリンです。
カゼインは牛乳タンパク質の8割を占める主要な物質で、β-ラクトグロブリンはホエイ(乳清)に多く含まれる物質です。
これらの牛乳タンパク質が腸内で抗原抗体反応を起こし、アレルギー反応を引き起こすと考えられています。
牛乳アレルギー患者のうち、100%の割合でカゼインに陽性反応があり、60%でβ-ラクトグロブリンに陽性反応があります。
牛乳は加熱してもアレルゲンの力が落ちることは期待できません。
牛乳タンパク質のうちカゼインには耐熱性があり、加熱してもタンパク質の構造はほとんど変化せず、アレルギーの起こしやすさは変わりません。
一方でβ-ラクトグロブリンは加熱するとアレルゲンが5分の1〜6分の1まで減少するといわれています。
ですが、β-ラクトグロブリンに陽性反応のない40%のアレルギー児でも、熱に強いカゼインではアレルギー症状が出てしまうため、「牛乳は加熱してもアレルゲンが減少することはない」と表現されることが多いのです。
牛乳アレルギーの症状
じんましんの他、下痢や便秘、腹痛などの消化器症状も多いのが、乳アレルギーの特徴です。
呼吸器にも症状が出やすいとされていて、重症化のリスクも高いアレルギーのひとつです。
加熱してもアレルゲンが減少しない特性もあって、誤食やコンタミネーションも起こりやすく、アナフィラキシーショックを起こすことも少なくありません。
牛乳はとても身近な食材のイメージですが、アレルギーの人にとっては、たった1滴で命の危険すらある症状を起こしてしまう食材なのです。
牛乳アレルギーの割合
数ある食物アレルギーの中で、「牛乳」は「卵」に次いで2番目に多いアレルギーです。
食物アレルギー全体の約2割を占めています。
牛乳アレルギーのほとんどは0歳で発症し、3歳までに5割、小学校就学時までには7〜8割が治るといわれています。
治ると言っても、自然に飲めるようになるわけではなく、地道な治療を重ねて少しずつ飲めるようになっていきます。
重篤度が高いアレルギー児では治療がなかなか進まず、小学生になってからも完全除去しなくてはいけない患者さんもいます。
牛乳アレルギーと乳糖不耐症の違い
牛乳アレルギーに似た症状で、「乳糖不耐症」があります。
乳糖不耐症とは、乳糖(ラクトース)を分解する消化酵素(ラクターゼ)が成長とともに少なくなり、消化不良の状態を起こすことです。
主にお腹のゴロゴロ感、ひどくなると腹痛や下痢を引き起こします。
アレルギー特有の反応である、じんましん・皮膚の腫れ・呼吸困難・意識障害は、乳糖不耐症には見られません。
日本人を含むアジア圏では、およそ95%もの人が乳糖不耐症であると言われています。
ヨーロッパや北欧などでは乳糖不耐症になる割合は大幅に下がるというデータがあり、これには普段から乳製品をふんだんに摂取しているなどの生活習慣の違いが関わっているとされています。
すでに乳糖不耐症の人でも、低乳糖牛乳を選んだり、乳酸発酵している食品(ヨーグルト)などを継続摂取することで消化酵素を活性化させるなどすると、乳糖不耐症の症状が和らいでいく可能性があるそうです。
牛乳アレルギーの人が避けなければいけない食材
牛乳そのもの、および牛乳を加工したもの
- 牛乳
- やぎ乳・めん羊乳
- ヨーグルト
- チーズ
- バター・マーガリン
- 全粉乳・脱脂粉乳・練乳
- 生クリームやホイップクリームなど
やぎ乳と羊乳は、牛乳と強い交差抗原性があります。
特定原材料等には入っていないため表示はされませんが、牛乳アレルギーの人はやぎ乳やめん羊乳を避けなければいけません。
飲食店や屋台、また牧場など、やぎ乳・めん羊乳が使われていそうなところで飲食物を購入する際は注意した方がよさそうです。
牛乳を含む加工食品
- 乳酸菌飲料・はっ酵乳
- アイスクリーム
- パン・ケーキ
- チョコレートなどの洋菓子
- カレーやシチューのルウ・ホワイトソース
- ハムやウインナーなどの肉類加工品など
乳製品自体を食べないことはもちろん、これらを使用した食品・飲料なども避けなくてはいけません。
一見乳製品が使われていそうにない見た目のものでも、原材料欄のアレルゲン情報を確認してみると「乳成分」と書かれていたりします。
また、コンタミネーションにも気を配らなければなりません。
中でもチョコレートは特に注意が必要で、「乳成分不使用」を謳っているチョコレートであっても、乳成分を使った製品と同じ機械で製造されている場合は必ずと言っていいほどコンタミネーションが起こります。
ドロドロに溶けた状態のチョコレートはいくら機械を洗浄しても成分が残りやすいため、安全な「乳成分不使用」チョコレートと言えるのは、専用の機械で作られたものだけになります。
少量でアレルギー反応が出る人やアナフィラキシーショックを起こしたことがある人は、チョコレートの乳コンタミネーションに注意が必要です。
牛乳タンパク質を使用したもの
- 牛乳由来のプロテイン
- 乳成分を使った薬剤・医薬品など
トレーニングなどに用いられるプロテインは大まかに分けて3種類あり、ホエイ・カゼインの牛乳由来のものが9割、ソイと呼ばれる大豆由来のものが1割ほど流通しています。
ソイプロテインには乳成分が含まれませんが、ホエイプロテイン、カゼインプロテインは牛乳アレルギーの人は摂取できません。
プロテインはタンパク質を効率的に摂取することを目的として作られているため、100mlあたりのタンパク質量は牛乳の数倍にもなります。
過去には、プロテインが牛乳から作られることを知らずに、牛乳アレルギーの子供に与えてしまうという事故も報告されています。
また、カゼインや脱脂粉乳を使った薬があり、それらは牛乳アレルギーの人は服用することができません。
薬にも、製造する過程で牛乳由来成分を利用している商品があります。
病院で新しく薬を処方される際は、牛乳アレルギーがあること、その薬を飲んでも大丈夫かどうか、を主治医に改めて確認することをおすすめします。
意外なものにも乳成分が入っていることが
食べ物や飲み物だけでなく、乳成分はいろんなものに配合されていることがあります。
- 牛乳石鹸
- シャンプーやコンディショナー
- 入浴剤
- 歯磨き粉・シュガーレスガムなど
牛乳石鹸やヨーグルト液入りシャンプー&コンディショナー、カゼインや乳糖入りの入浴剤など、入浴用品に乳成分が使用されている例があります。
成分表の欄に「乳脂」「ミルクプロテイン」「ホエイ」「カゼイン」という文字があったら、牛乳アレルギーの人は避けた方がよいでしょう。
また、ガムなどで耳馴染みのある「リカルデント(CPP-ACP)」という成分は牛乳から作られています。
歯医者さんで販売されている歯磨き粉の中にもリカルデント成分入りのものがあるようなので、牛乳アレルギーの人は歯医者さんや薬局でも「牛乳アレルギーがある」と伝えた方がよいですね。
また、酸を加えて固めることでプラスチックになるので、印鑑、麻雀牌、ピアノの鍵盤、根付、ストラップの飾りなど、意外なところで使われています。
DIYで最近流行っているペンキにもカゼインが主成分として使われているものも見かけるようになりました。
大丈夫な『乳』もあります
反対に、『乳』『バター』の文字が付いていても食べられるものがあります。
- 乳化剤・・・水と油など混ざりにくいものを均一に混ぜ合わせることを『乳化』という。乳化剤の原料は大豆や卵黄などさまざまで、牛乳由来でない限り牛乳アレルギーの人が食べても問題ない。
- 乳酸菌・・・糖を消費して乳酸を作り出す菌の総称。善玉菌のひとつで、健康維持に一役かってくれる。乳酸菌自体に牛乳アレルゲンはないが、ほとんどの乳酸菌飲料は牛乳を発酵させて作られているため、原材料欄の確認が必要。
- 乳酸カルシウム・乳酸ナトリウム・・・どちらも牛乳を由来としない化合物。食品添加物に使われたりする。
- カカオバター・・・『バター』と名前がついているが、牛乳由来ではなく、カカオ豆の脂肪分を圧搾したもの。チョコレートの口溶けをよくしたり香りをよくしたりするために用いられる。
乳酸菌飲料以外で乳酸菌を摂取したい場合は、ぬか漬けやしば漬け、たくあんなどの漬物が有効です。
漬物に含まれる乳酸菌は植物性乳酸菌と呼ばれ、胃酸で死滅してしまう動物性乳酸菌と違って、生きたまま腸まで届くそうですよ。
牛乳由来の乳化剤に注意
「乳化剤には乳成分が含まれないので問題ない」と書きましたが、乳化剤でも牛乳由来のものが使われている場合もあります。
カゼインは、水に溶けやすい「カゼインNa」に加工され、水と混ざりにくい油やタンパク質を混ぜやすくするために乳化剤・安定剤として用いられています。
この「カゼインNa」は、パン、ケーキ、ハム・ソーセージ等の肉類加工品、缶コーヒー・フルーツジュース、ワイン・蒸留酒・ビール、化粧品、薬剤(抗生物質、局所塗布薬など)など、幅広く利用されています。
「乳化剤(乳成分を含む)」という表記があった場合は、この「カゼインNa」であることが多いです。
新生児〜乳児の牛乳アレルギー
牛乳アレルギーの発症は、0歳が一番多くなっています。
これは、牛乳(ミルク)がそれだけ身近な食物で、生後間もなくから触れる機会が多いことが関わっていると思います。
生まれてすぐの赤ちゃんの場合、粉ミルクを与えた後に嘔吐したり、下痢や血便が続いて体重が増えないなどの症状が出て、牛乳アレルギーが原因かもしれないと気づきます。
離乳食を開始する時期になると、母乳育児をしていてそれまでミルクを与えたことがない赤ちゃんが初めて牛乳(ミルク)を口にしたときに、じんましんが出たり、嘔吐・下痢の症状が出たりして判明することが多いようです。
乳児の乳アレルギー対応策
赤ちゃんが牛乳アレルギーと診断されたら、まずは牛乳成分のミルクをストップする必要があります。
ミルクを与える場合は、アレルギーに対応したミルクを使うことになります。
アレルギー用の代替ミルクには、アレルゲンをできるだけ小さく分解したものや大豆を使用したものなどいくつか種類があって、その子のアレルギーの強さなどによって使うものを選ぶそうです。
母乳を与えている場合は、お母さんも乳製品を摂取するのを控えるようにと言われます。
これは牛乳に限ったことではなく、どの食物アレルギーの場合でも「お母さんも食べないでくださいね」と言われます。
母乳にはお母さんが食事で摂ったものの成分が移行するためです。
お母さんが食べたものが赤ちゃんに影響を及ぼす、と聞くと「私が妊娠中・授乳中に食べたものが原因なのでは…」と心配になる方もいらっしゃると思います。
ひと昔前だと「あなたが食べすぎたから赤ちゃんがアレルギーになったんだよ」などと心無いことを言うお医者さんもいたそうですが、現在では「それは間違っている」とはっきりいわれています。
「妊娠前や妊娠中のお母さんの摂取した栄養が原因となって、赤ちゃんがアレルギー発症することはほとんどないといえる」、それどころか「妊娠中に母体が摂取した食品から、臍帯を通じてタンパク質が胎児に移行し、その結果、出生後のアレルギー発症リスクが減少する可能性がある」ということがわかってきているそうなのです。
要は、お腹に赤ちゃんがいるときからママがいろんな食品を食べていると、生まれてからアレルギーになる可能性が低いかも、ということです。
また、生まれた赤ちゃんにアレルギー症状が見られない場合には、授乳中のお母さんの食事からアレルゲンとなる食品を外さない方がよいとされています。
妊娠中や授乳中にママがアレルゲンとなるものを避けることは、却ってそのアレルギーを誘発しかねないというのです。
「赤ちゃんのうちの早い段階からアレルゲンとなる食品を経口摂取した方が、将来のアレルギー発症リスクが低くなるのでは」という研究は、現在世界中で行われています。
SPADE study(スペード試験)
アレルギー発症予防のため、生後5ヶ月からピーナッツを与える『LEAP study』、アトピー治療と並行して生後6ヶ月から加熱卵を与える『PETIT study』、「生後6ヶ月以前から離乳食を開始することはアレルギー予防となるのでは」ということを検証した『EAT study』など、2010年以降はさまざまなアレルギー予防に関する研究の結果が発表されました。
そんな中でも、沖縄県の4つの医療機関が実施した『SPADE study』という試験が、赤ちゃんの牛乳アレルギー予防に役立つのでは、と世界中から注目を集めました。
この試験は、牛乳アレルギーのない生後1ヶ月の赤ちゃんを「摂取群」と「除去群」の2グループに分け、「摂取群」には毎日10mlのミルクを月20日以上飲んでもらい、「除去群」にはミルクを与える日数を月3日に抑えてもらうというもの。
試験中も母乳は通常通りに与えてもらうことが前提です。
これを2ヶ月間、生後3ヶ月まで継続してもらったところ、生後6ヶ月時点での牛乳アレルギー発症率が「除去群」で6.8%だったのに対し、「摂取群」ではなんと0.8%にまで抑えられました。
『生後1ヶ月〜3ヶ月の間に少量のミルクを継続して与えることは、アレルギー発症リスクを抑制する』ということがわかったのです。
牛乳アレルギー発症予防とスペード試験について | 社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院
この研究結果は2020年に発表され、2021年にはこの内容が食物アレルギー診療ガイドラインに反映されています。
ただし、この研究を開始する前に赤ちゃんに対して行ったスクリーニング検査で、2名の赤ちゃんに牛乳アレルギーの反応が見られました。
初めてミルクを赤ちゃんに与える場合は、アレルギー反応が出ないか様子を見ながら、医師と相談しながらの方が安心です。
また、赤ちゃんに湿疹や肌荒れがある場合は、それらがアレルギー発症の誘因因子となり得るため、並行してスキンケアをすることも大事になってきます。
何よりこの研究は『母乳とミルクの混合栄養を積極的に促すものではない』と、研究に参加した医師ご本人が仰っています。
『母乳のみで育った子供のアレルギー発症リスクが高くなる』というわけでもありません。
母乳には乳児期に必要な栄養素や免疫機能を補う物質が多く含まれていて、赤ちゃんにとって大切な総合栄養食です。
赤ちゃんの家族にアレルギーの人がいないなど、元来アレルギー発症リスクが低い場合には、母乳のみの育児でも問題はないと考えられます。
でももし、ご両親や兄弟に牛乳アレルギーがあったり、新生児からひどい湿疹が出ていたりと、今後アレルギーの発症が心配な赤ちゃんは、健診の際に小児科医にご相談なさってみるのもいいかもしれません。
牛乳アレルギーを治していく
もしお子さんが牛乳アレルギーを発症したら、検査を行い、完全除去するか少しずつ摂取していくかを医師と相談します。
IgE抗体価の数値的に除去しなくてもよいと言われたら、少量から摂取を進めていくことになります。
特に牛乳は、人間の日常生活の中で身近な食材であり、加熱しても発酵してもアレルゲンが減少することのない食品です。
重篤な症状を引き起こす可能性が高い食材でもあるので、「ついうっかり」口に入ってしまっても大丈夫なよう、将来的にある程度の量まで飲めるようになることを目標に、体の方を慣らしていこう、というわけです。
もうすぐ小学校入学という頃になってもアレルギー症状が強く出てしまう、なかなか飲めるようにならないという場合は、専門病院で治療を始める方が多いようです。
まずは、お子さんがどのくらい牛乳を飲めるのか、量を測る検査をします。
「これ以上飲むと症状が出る」という量を「閾値(いきち)」といい、この量を知ることがアレルギー治療の重要な第一歩です。
この検査は「食物経口負荷試験」といい、アレルギーを専門とする医療機関で、症状が出てもすぐに対応してもらえる環境のもとで行います。
閾値がわかったら、あとは自宅で「経口免疫療法」を行っていきます。
これは、閾値内の量を毎日継続的に摂取していくという減感作療法です。
継続的に摂取することで、牛乳を飲める量の枠を少しずつ大きくしていくことを目的としています。
経口免疫療法を進めていく場合、「この食パンなら◯gまで食べられる」「このハムなら◯gまで食べても大丈夫」というかたちで、その食品にどれくらい乳製品が入っているかを確認しながら食事療法を進めていきます。
主な牛乳タンパク質であるカゼインは熱によって変性しないがゆえに、閾値内での食品可食量を決めやすいといわれてます。
乳製品のタンパク質量
それぞれの乳製品のタンパク質量は、製法によって大きく違います。
牛乳を発酵させてつくるヨーグルトのタンパク質量は、牛乳とほとんど変わりません。
バターは成分の大半が油脂であり、意外にもタンパク質量はそんなに高くありません。
注意しなければいけないのはチーズです。
チーズは、カゼインの塊であるカードと呼ばれる部分を凝固して取り出し、発酵熟成させて作っています。
いわばタンパク質のかたまりです。
100gあたりのタンパク質量は牛乳の6〜7倍にもなります。
プロセスチーズの場合、牛乳を20ml摂取できるお子さんのチーズの摂取可能量は約3gです。
18gのスライスチーズなら、6分の1の量しか食べられないということ。
お子さんが摂取できる量をしっかりチェックしてあげることが大切です。
牛乳アレルギーのお子さんにとって、経口免疫療法中にアレルギー症状が出ることは、乳製品を摂ることへの恐怖心につながりやすく、療法を継続することが難しくなりやすいといわれています。
また、完全除去を続けていたお子さんはずっと「これは飲んでは(食べては)いけないもの」と言われながら育ってきています。
そのため、経口負荷試験を行う際に牛乳を摂取することに強い抵抗感や拒否を示すお子さんは少なくないそうです。
まだ小さなお子さんが心理的負担を抱えて試験に臨まなければならないこと、その姿を見ることは、サポートするお父さんお母さんにも辛いことだと思います。
本人も家族も大変な努力をはらって行われる経口負荷試験、経口免疫療法を進めていくために、「これをがんばったら、みんなと同じものが食べられる」「これをクリアできたら、ずっと食べてみたいと思っていたものが食べられる」という希望が支えになってくれるかもしれません。
アレルギーのあるお子さんにとって辛いことは、症状が出ることはもちろん、「みんなと同じものを食べることができない」という我慢を強いられることもあると思います。
この努力の先に『みんないっしょ』の食卓が待っているーーー。
お子さんが乳製品を「食べてみたい」と思えることが、牛乳アレルギーの治療において、いちばん大事なのかもしれません。
ヴィーガンとアレルギーの違い:食の選択肢とアレルギー対策
近年、ヴィーガンという思想が一般にも広く知られるようになってきて、ヴィーガンフードが巷でも手に入りやすくなってきています。
ヴィーガンとは「完全菜食主義」のことで、卵や乳製品を含めた動物性タンパク質を一切摂らないライフスタイルのことです。
乳製品を使わず作られているとされていて、牛乳アレルギーの人でも食べられる食品が多くあります。
ですが、ヴィーガンフードは「食べられない」人向けのものではなく、あくまでも「食べたくない」人向けの食品。
乳成分のコンタミネーションや、原材料の中の乳成分使用などがないわけではないので、製品パッケージのアレルゲン情報を確認することは重要です。
ヴィーガン食品、3分の1に乳製品や卵 英調査 | Yahoo!ニュース
記事の調査はイギリスの話ですが、「食べられない」アレルギーと「食べたくない」ヴィーガンという両者の間には、大きな認識の違いがあることは理解しておいた方がよさそうです。
それでも、アレルギーの人が食べられるものが増えることは、とても素晴らしいことだと思います。
ヴィーガンというライフスタイルが一般社会に広く認知されてきたのと同じく、食物アレルギーに対しての理解も広まってきていることを肌で感じられることも増えた気がします。
日本の食品メーカーでは『特定原材料を使用していない食品』が開発されていて、その品目はどんどん多くなってきています。
ハウス食品だけでなく、明治や日本ハム、キユーピーなど、日本の名だたる大手食品会社さんが『特定原材料不使用』という独自ブランドを発表されています。
特別なお店に行かなくても、スーパーに並んでいるものも増えてきているので、お買い物もらくにすることができますね。
ハムや豆乳シュレッドなど、tontonの工場で使っているいくつかの材料も、スーパーで買うことができるものです。
アレルギーがあっても、食のQOL(クオリティ・オブ・ライフ/生活の質)を下げることなく生きられる、そんな豊かな世の中になってきています。
パン屋はどうしてる?
パンはフランスパン、ドイツパン、ベーグル以外には乳成分が入っていると考えて間違いありません。
なぜなら、日本に初めてパンが外国から入ってきたとき、もうすでにレシピの中に「脱脂粉乳」が入っていたからです。
そのレシピを元に、いろいろなパンが派生してきたので、乳製品は酵母や塩と共に必須材料となっています。
パンにおける乳製品の役割は、乳製品の味を出すことではありません。
他の食品と同じく「状態を安定させるため」です。
パンの内層がきめ細かくなって、潰れにくくなり、パン生地が安定します。
パン屋にとって乳製品を入れることは、もはや「当たり前」なのです。
試しにパン屋さんに「何でパンの中に乳製品を入れるのですか?」と聞いてみるとわかります。
「なんでって…昔から入れることになっています。」と…。
ですが、乳製品抜きのパンは作ることが出来ます。
作れるはずです。
入れなければいいのですから…。
tontonの想い
tontonのパンは、乳製品を持ち込まない工場で作っているので、牛乳アレルギーのお子さんにも安心して召し上がっていただくことができます。
乳製品除去を勧められたお子さんの離乳食に使っていただくこともできますし、これから経口負荷試験に向かっていくお子さんの心のワンクッションとして、パンへの恐怖心を和らげるお手伝いもできるかもしれません。
なによりも、兄弟で、家族で、同じパンを食べられる!
『みんないっしょ』のよろこびを味わっていただきたくて、tontonでは今日もパンを作っています。