2種類の考え方
パン屋に限らず、「商売」って2種類の考え方があると思います。
一つ目は、自分(店主)が好きなもの、美味しいもの、かっこいいなって思うものを、お客さまにご紹介して、共感してもらって買っていただくスタイル。
二つ目は、お客様のご要望(声)に耳を傾けて、それに沿うように仕入れたり、作ったりして買っていただくスタイル。
どちらが正解とは言えません。
どちらの考えのお店も存在し、経営されています。
商売されている方の考え方でお店の雰囲気は千差万別です
当店は、幸いなことに?
画期的なパンや、時代の最先端を行くパンを作る能力がありません。
ほとんどのパンを「お客様の声」から発想して作っているので、フルーツの乗ったかっこいいデニッシュや、こんがりと焼けたかっこいいフランスパンは作っていません。
他のパン屋さんに、当店の食パンを食べていただく機会がありました。
すると一言…
「これは食パンじゃない」「普通、食パンはこんなに甘くないし、形も良くない」
なんて言われてしまいました・・・(当店のパンたちは他のパン屋さんには甚だ不評です・・・)
でもいいんです。
この食パンは、多くのお客様の意見の積み重ねで出来た食パンなんですから。
買っていただけるのは、パン屋さんじゃなく、お客さまなんだから・・・
そう思って毎日パンを作ってます。
職人のいない店
職人さんが商いをしているお店は「お店主導の店」になりがちです。
「こだわりのお父さん」って感じがします。
例えば・・・
- うまいカレーを作るといって、香辛料をいっぱい買ってきて絶品カレーを作るとか。
- 日曜大工用の工具セットを買いあさったり(笑)
- ゴルフにハマって、ゴルフ場に行く時間やお金はないけど、ゴルフクラブを次から次に買って、かっこよく打ってる自分を妄想したり・・・
そんなお父さんがやってるようなお店。
トントンがオープンした当初はコンセプトも何もなく、都会のパン屋で培ってきた「パン」という引き出しを少しづつ開けてはこんな美味しいパンあるよ~的な感じだったんですが・・・
全く売れず・・・
そして、引き出しの中は空っぽになりました。
そのとき気づきました。
自分が食べたいパンを作ったらダメなんだと言うことを!
今のトントンは、完全なる「お客さま主導の店」
お父さんはいないんです。
お客さまが来られたとき、「今日は何食べたいの?」的な感じです。
そう、それはまさに「お母さん」!
職人のいない店なんです。