トントンがこよなく愛する国産小麦のお話
パンと言えば、小麦で作った食べ物。
トントンのパン全般に使っている小麦粉は、北海道産100%の強力粉です。
カナダ産小麦から国産小麦に切り替えるとき、いくつもの品種を試しました。
- ハルユタカ
- 春よ恋
- ゆめちから
- ハナマンテン
- ゆめかおり
- ミナミノカオリ
一昔前まで、国産小麦で作ったパンは膨らみませんでしたが、今はいろんな品種が出てきて輸入小麦に負けないくらいよく膨らむようになりました。
小麦はお米と一緒で、品種によって味や香りもさまざま。
価格もさまざま(笑)
製粉会社に特別に作ってもらった北海道産100%の小麦粉
「ハルユタカ」は美味しいのですが、タンパク量が少ないのか?パンにするのが難しい…
収穫量も圧倒的に低く、病気にかかりやすく雨にも弱い品種で、価格が高すぎて断念。
「ハルユタカ」を品種改良した「春よ恋」と、パンの膨らみを助けてくれる「ゆめちから」を製粉会社にブレンドしてもらいました。
「春よ恋」は、「ハルユタカ」の香りを継承しつつ、病気にも強い優等生。
北海道産小麦独特のモチモチ食感を楽しめるパンになります。
国産小麦は輸入小麦に比べて品質のブレが大きいらしく、ロットによって膨らみ方が微妙に違います。
そこは技術でカバー…と言いたいところですが…
製粉会社の担当者さんと相談して、捏ね具合や水の量を調整しています。
トントンが使っている小麦粉を製造している会社に直接伺ってみました
北海道産小麦について
日本で生産される小麦の約6割が北海道で作られているそうですが、その中でもタンパク質量の多いパンに適した小麦は1割ほど。
ほとんどが「きたほなみ」という品種で、主にうどんに使われる中力粉になる小麦だそうです。
トントンで使っている小麦粉の麦の産地
十勝地方を中心に、道東、道央、道南で作られているそうです。
北海道の小麦農家のみなさん、ありがとう!
国産小麦の価格の決まり方
以前は輸入小麦と同じように政府が買い入れをし、製粉会社に販売する仕組みでしたが、需要に応じた良品質の麦の生産を推進する観点(平成10年・新たな麦政策大綱)から、民間流通に切り替わりました。
現在では、国産小麦は生産者(主にJA)と製粉会社との入札取引となっています。
加えて、外国産小麦との価格差が開きすぎるのを防ぐため、「事後調整」という仕組みがあり、輸入小麦の政府売渡価格の変動(4月と10月)に応じて、国産小麦の取引価格を調整しています。
毎年小麦の価格が上がっています
【速報】4月の輸入小麦の政府売り渡し価格を17.3%引き上げ 過去2番目の高値に | FNNプライムオンライン
お米と同じく、小麦は日本の主食の一つとなりました。
食料の安全保障を考えると、お米と同じく小麦も国内生産を進めていくべきなのでしょうが…
もともと小麦は雨に弱い作物で、日本の気候は小麦を育てるのに適していません。
国産小麦は輸入小麦に比べて生産コストは6倍かかっているそうです。
それなのに、販売価格に6倍の差がないのは、補助金が出ているから。
輸入小麦の価格が過去2番目の高値。
アメリカやカナダの小麦が不作だったことと、ウクライナ情勢の悪化が原因で、去年の同じ時期に比べると4割高くなったそう。
一気に国産小麦の需要が高まって、価格が高騰することが予想されます。
小麦粉の「国内製造」は「国内生産」ではない
2017年9月1日に食品表示法が改正され、2022年4月1日より完全施行となる「新原料原産地表示制度」
最も多く使用している原材料について、生鮮原材料の場合は「産地」を、加工された原材料の場合は「製造地」を国名で表示する決まりとなりました。
小麦粉は加工原材料に分類されるため、小麦粉を製粉した国を表示する決まりになっています。
つまり…
アメリカの小麦だろうと、カナダの小麦だろうと、日本で製粉したものは「小麦粉(国内製造)」という表示になります。
この表示って意味ある?
パンもケーキもお菓子も、ほぼ100%「小麦粉(国内製造)」になっているはずです。
消費者はどこの国の小麦なのかを知りたいはずなのに…
トントンが国産小麦にこだわるわけ
それでもトントンは、国産小麦にこだわってパンを作っていきたいと思います。
輸入小麦の安全性が確認できないこと、国産小麦の品質が近年向上してきたこと。
そして何より国産小麦を生産している農家さんを応援したいから。
小麦農家さんのお知り合いの方がいらっしゃいましたら、感謝の意をお伝えください!
国産小麦の価格がどんなに高くなっても、遠く石川県で喜んで使っているパン屋があることを!!
カナダ産小麦から国産小麦に切り替えた理由については、こちらのコラムをご覧ください。