国産小麦に切り替えたわけ【グリホサートの危険性】
安全・安心のために。全商品、カナダ産小麦から国産小麦に切り替えました
パン屋を自分で始めて以来、14年間。カナダ産の小麦粉を使ってきました。
品質の高いパンを作ることができ、遺伝子組み換え作物ではなく、ポストハーベスト(収穫後の農産物に使用する殺菌剤散布)が少ないから。
ところが最近になって、オーガニック(有機栽培)小麦を除くカナダ産小麦はプレハーベスト(収穫目前に除草剤を散布)しているという事実が発覚しました。
畑に実っている小麦をすべて枯らすことで、収穫を2週間くらい早めることができるそうです。
プレハーベストで主に使用されている除草剤は、主にラウンドアップが使用されていて、主成分は「グリホサート」という、アミノ酸系除草剤の一種です。
それを受け、トントンではカナダ産小麦から国産小麦に全面的に切り替えました。
世界中が禁止するラウンドアップ
ラウンドアップの日本の販売会社、日産化学株式会社の説明によると…
有効成分“グリホサート”はもっとも簡単なアミノ酸である“グリシン”と“リン酸”の誘導体、野生生物・鳥類・昆虫類にも極めて安全性が高く、世界の環境保護区や、世界遺産の保全に、広く利用されています。
とありますが…
アメリカ・カリフォルニア州地方裁判所の陪審は、ラウンドアップが、がん発生の「事実上の要因」であるとの評決を下しました。
がん発生に関する研究データを隠蔽していた事実が法廷で明らかにされたからです。
現在、ラウンドアップの訴訟件数は、1万4000件を超えています。
また、WHOの外部研究機関である国際がん研究機関(IARC)は2015年3月20日に、除草剤グリホサートを「おそらく発ガン性物質」という2Aのカテゴリーに指定しました。
デンマーク、スウェーデン、ノルウェーではラウンドアップの散布禁止、フランスではラウンドアップの販売禁止、EUは2022年までにグリホサートの仕様を禁止すると発表。
続いてアラブ6カ国も使用禁止、ベトナムなどアジア5カ国もグリホサートの輸入禁止を決定、その他、アフリカ各国、南アメリカ各国も販売禁止に動いています。
ところが日本だけ…
世界中でラウンドアップの危険性が拡散されている中、店頭でラウンドアップが簡単に手に入るのは日本だけという状況になっています。
それだけではなく、日本政府は「グリホサートの安全性を確認した」との評価書を公表し、2017年12月にはグリホサートの残留農薬基準を大幅に緩和しました。
ラウンドアップが世界中で禁止され閉め出される中、行き場を失ったラウンドアップは日本になだれ込んできています。
輸入米麦のかび毒、重金属及び残留農薬等の船積時検査 (平成30年度)-農林水産省
カナダ産小麦はグリホサート検出率が100%だということがわかります。
29年度までは基準値が5ppm(5mg/kg)でしたが、30年度から30ppm(30mg/kg)と6倍になりました。
日本政府は何を根拠に安全性が確保できていると確認したのでしょうか?
メーカーの言い分を鵜呑みしたのでしょうか?
アメリカ企業とアメリカ政府からの圧力に屈して、このような判断を下したとしか思えて仕方ありません。
子どもたちの将来、安全・安心のために。
ラウンドアップ訴訟はまだ終了しておらず、もしかすると日産化学株式会社や日本政府の説明の通り、発がん性はなく安全なのかもしれません。
含有量が30ppm以下であれば、安全性が確保できるという判断なのかもしれません。
しかし、発がん性の疑いがある以上、プレハーベストされた小麦でパンを…トントンでは作ることができません。
2019年12月、トントンで作るパンをすべて国産小麦に切り替えました。
現在のところ、国産小麦はプレハーベスト自体禁止されているからです。
国産小麦に切り替えたことにより、価格が上がり、小麦の香りや味わいも若干弱くなった気がします。
ですが…
食品に携わるものとして、一番大切にしなければならないこと。
それは、なにはともあれ安全・安心です。
どんなに美味しかったとしても、価格が安かったとしても…安全安心が確保できなければ、意味がありません。
「身体を作っているものは食べ物」とよく言われます。
であるならば、極力身体に悪い食べ物は取りたくないですよね。
パンの原材料は、農薬問題、添加物問題、アレルギーの問題など、課題が多い食べ物です。
アレルギーの方が多い、卵・乳製品・ナッツ(アレルギー表示推奨品目のナッツ)を使わず、原材料を吟味。
アレルギーがあってもなくても「おいしい!」と言っていただけるパン。
そして何より、安心してお召し上がりいただけるパンを目指しています。