牛肉アレルギーとパン屋さん
お客様からお問い合わせをいただきました。
牛肉にアレルギーがあるのですが、使用されている油や乳化剤に牛肉の成分は含まれていますか?
牛肉アレルギーに関してのお問い合わせはあまり多くはありません。
牛肉に表示の義務はありませんが、特定原材料に準じた表示が推奨されている21品目に入っています。
牛肉アレルギーとは、一体どんな物質に反応してアレルギーが発症するのでしょうか?
牛肉アレルギーとは?
牛肉アレルギーの原因は、α-galという糖鎖抗原です。
糖鎖とは、ブドウ糖などの糖が結合してつながりあった物質で、細胞内のほぼすべてのタンパク質や脂質に産毛のように付いています。
抗原とは、体の中に侵入してきた異物=食物で言うところのアレルゲンのこと。
α-galは哺乳類のタンパク質に存在するため、豚肉や羊肉にもアレルギー反応が現れます。
また、カレイの魚卵にもα-galが含まれているため注意が必要です。
鶏肉や鴨肉などの鳥類の肉にはα-galが存在していないため、牛肉アレルギの方は鶏肉や鴨肉を食べてもアレルギーが発症しないことがわかっています。
牛肉アレルギーの主な症状は、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、呼吸困難、消化器不良など。
牛肉アレルギーは、マダニに咬まれることが原因ではないかと考えられています。
マダニの唾液にはα-galが含まれていて、咬まれることで皮膚からα-galが侵入し、体の免疫がアレルギー物質と認知し反応するようになります。
自然が残されている地域に牛肉アレルギーが多い
日本では島根県、宮崎県、三重県、徳島県、愛媛県で牛肉アレルギーの方が多いそうです。
出雲大社や熊野古道など、人があまり入り込まない昔のまま保存された森が多い地域。
マダニが多くいる地域と合致します。
マダニに刺されることで感染する「日本紅斑熱」「ライム病」「回帰熱」が発生している地域とも重なります。
マダニは西日本に多く分布していますが、ここ最近では青森県や秋田県でも確認されており、感染地域が拡大しています。
毎年、夏から秋にかけてマダニに咬まれて感染症を引き起こす患者が増えるため警戒が必要です。
血液型がA型とO型の人に多い牛肉アレルギー
ABO式血液型は「糖鎖」を基準に決められています。
赤血球の表面についている糖鎖の違いによって、A型、B型、O型、AB型の4タイプに分類されています。
B型とAB型の血液にはα-galが存在しているため、α-galに対しての抗体ができにくく、牛肉アレルギーのほとんどの方は血液型がA型またはO型だそうです。
血液型占いは信じていない方ですが…血液型と食べ物とアレルギー反応には、何らかの関連性があるようです。
抗がん剤と牛肉アレルギーとの関係
切除不能な結腸がんや直腸がん、頭頸部がんなどで使用されている「セツキシマブ」という抗体薬があります。
アメリカ東南部でセツキシマブによるアナフィラキシーショックが多く確認され、その原因がセツキシマブの成分にあるα-galによることが解明されました。
牛肉アレルギーの原因もα-galにあるため、セツキシマブアレルギーと牛肉アレルギーは関連していると考えられています。
糖鎖の研究が官民一体で進められている
牛肉、豚肉、羊肉、カレイ魚卵、マダニ、血液型、抗がん剤。
全然関連していないようで、すべてにα-galという糖鎖が関連しているだなんて、すごく興味深いお話です。
糖鎖は、体の免疫力や修復・調整機能にも深く関わっているそうで、人の細胞の「身分証明書」と言われています。
2001年に経済産業省は「糖鎖の機能を解析するため、官民一体となって集中的に研究を始める」と発表しました。
どのような糖鎖がついているかで体内の働きが決まり、ガンやアトピー性皮膚炎、腎不全、リウマチなどにも関連しているとみられています。
糖鎖の機能を解明し、病気の発症や改善に役立つ日が来るのかもしれません。
当店での考え方
現在販売している商品の中で、牛肉を使用しているパン
牛肉アレルギーの方が反応を起こす可能性がある豚肉を使用しているパン
牛肉アレルギーの方は上記のパンを避けられたほうが良いです。
トントンのパンに使用している油(ショートニング)には動物性の成分は一切含まれていません。詳しくはこちら
また、乳化剤はショ糖と菜種油を原材料として製造されています。詳しくはこちら
特定原材料7品目と特定原材料に準ずる20品目の合わせて27品目について、アレルギー物質が含まれているかどうかを各商品の詳細ページに記載しておりますので、ご確認ください。