冷凍パンの普及はなぜ難しいのか?
「どうして冷凍なんですか?常温で送っていただけませんか?」
初めてのお客様からのお問い合わせ。
冷凍パンはあまり見かけないため、違和感を感じられるんですよね。
冷凍食品は劣化が激しいと考えられています。
冷凍すると食品の水分が凍り、それが食品の細胞膜を傷つけて味が変わってしまう。
一昔前までは、冷凍食品は劣化が激しいと考えられていました。
冷凍すると食品の水分が凍り、それが食品の細胞膜を傷つけて味が変わってしまう可能性があります。
実際、冷凍技術も今ほどよくなかったので、おいしさが失われていました。
緩慢凍結したときの細胞の変化
水分が多いお肉やお魚を冷凍して解凍すると、赤い汁が出てくることがあります。
これは一般的に「ドリップ」と呼ばれていて、細胞内の血や旨味を含んだ水分が初めに凍って膨張して、細胞膜を壊してしまいます。
そのため、解凍すると壊れた細胞膜の隙間から水分が漏れて外に流れ出すのです。
0℃〜−10℃の温帯が一番大きな氷の結晶が出来やすく、ご家庭での冷凍の場合ドリップが出やすいのはこのためです。
ですが、今は違います。
瞬間に冷凍することによって、水分をなるべく結晶化させないようにすることができるようになりました。
つまり、食品の細胞膜をほぼ傷つけることなく冷凍することが出来るようになったんです。
パンを急速冷凍すると、どうなるのか。
食品の中でも、パンは水分が少ない食品です。
ほとんど見かけませんが、パンは冷凍に向いているのです。
−25℃の安定した冷凍庫でパンを管理しています
パンは食品の中で、一番冷凍に向いている食品
パンのおいしさはデンプンのおいしさ。
デンプンは時間が経つと固くなって、おいしさが半減です。
デンプンといえば、ご飯も同じです。
「炊きたてのご飯」と「冷ご飯」、どちらがおいしいかといえば、絶対「炊きたてのご飯」です。
だから、おうちでごはんが余った時、デンプンが固くならないように冷凍して、食べるときはチンして食べますよね。
スーパーに売っている山盛りの袋売りのパン
焼きたてパン屋から言わせると・・・
袋売りのパンは、ご飯に例えると「冷ご飯」を売っているようなもの。
時間が経っても固くならないように、いろいろな工夫(固くなりにくい製法、phの調整、添加物など)がされています。
ネット販売でパンを購入いただく場合、どんなに急いでも召し上がっていただくのはパンが焼けた翌日。
もうデンプンは劣化しています。
だったら、焼きたてを冷凍して、食べる直前に解凍したほうがおいしい。
そんな思いで、冷凍パンの販売を始めました。
焼きたてのおいしさを家でたのしむ うちパン(現在、こちらのページは削除されています)
少し前、テレビでもてはやされていた「テーブルマークの冷凍パン」
一時期、どこのスーパーに行ってもありましたが、最近はさっぱり見かけなくなりました。
冷凍パン、やはり手に取っていただくのは難しいんでしょうか?
冷凍の餃子やチャーハンはしっかり市民権を得ているのに・・・
パンはどうして普及しないんだろ?
思いを馳せているうちに、はたと気づきました。
餃子やチャーハンと違って、パンという食べ物はどこに行っても簡単に手に入るからだ!
なかなか広まらない冷凍パンの市場
現在、パンを冷凍することは全く品質に問題ないのですが、あまりにも市場にないため物珍しく敬遠されます。
40年前の餃子やチャーハンのように。
でも今では、冷凍餃子や冷凍チャーハンは当たり前のように認知されています。
うどんや餃子、チャーハンなど、冷凍食品でもおいしい!そんな時代になりました。
パンもそこまで持っていけたらなって思うのですが・・・
パンは生鮮食品。
ネット販売の場合、焼きたてのパンを販売することは難しいです。
どんなに早くても、召し上がっていただけるのは焼いた次の日。
常温状態で時間が経ったパンよりも、焼きたてを瞬間冷凍して解凍したパンの方がおいしい。
そう考えています。
人は、あまり見かけない物を見ると警戒します。
無意識の中で、変化は危険と感じるからです。
ちょっとずつでもいい。
冷凍パンのおいしさを知っていただくためにも、一歩ずつ頑張ります!