お母さんの唾液でアレルギーは予防できる?興味深いアトピー・アレルギーの調査結果
乳児期の唾液接触と学齢期のアレルギー発症リスクとの関連性を明らかに | 和歌山県立医科大学
和歌山県立医科大などの研究チームは、1歳までの乳児期に食器の共有やおしゃぶりを介して親の唾液と接触した学齢期(小中学生)の子どもは、アトピー性皮膚炎などの発症リスクが低下する関連性がみられると発表されました。
2013年、スウェーデンで新生児184人を対象に、おしゃぶりの洗浄方法別にアレルギー発症リスクを比較した研究がされています。
小中学生での研究がなかったことから、日本で大規模な調査が行われました。
調査対象は、石川県加賀市の小中学生1,718名、栃木県栃木市の小中学生1,852名。
合わせて約3,570組の親子で、有効回答率は94.7%(3,380人)でした。
乳児期の唾液接触と学齢期の子どもたちのアレルギー発症 | 和歌山県立医科大などの研究チーム
調査結果によると、親が口の中に入れたおしゃぶりを使っていると、アトピー性皮膚炎の発症は65%低下、アレルギー性鼻炎の発症は67%低下。
食器を共用していると、アトピー性皮膚炎の発症は48%低下、アレルギー性鼻炎の発症は明らかな関連が見られなかった。
との結果に。
母親の唾液に含まれる細菌が乳児に移行することで免疫刺激となり、アトピーやアレルギーの発症リスクを低下させると考えられるそうです。
アトピーやアレルギーの原因は清潔すぎること?
衛生環境の改善や少子化にともなう乳幼児期の感染症リスクの低下がアトピーやアレルギー増加の一因ではないかと言われるようになりました。
- 1年以上母乳で育った子どもはハウスダストの皮膚反応が少なくアトピーになりにくい
- 乳児が家畜小屋に出入りすると、喘息、鼻炎、アレルギー疾患になりにくい
- 麻疹にかかった子どもとかかっていない子どもを比較すると、かかった子どものほうがアトピー発症が少ない
などの論文が過去に発表されています。
必要以上に清潔にし過ぎない方が良いかもしれませんね。
まだ完全に解明されたわけではありませんが、細菌とアトピー・アレルギーは深く関わっていることは間違いなさそうです。
アレルギー発症リスク低減のメカニズムが解明されて、安全で効果的なアレルギー疾患の予防法の開発に繋がることを願っています。