1歳未満の赤ちゃんに蜂蜜を食べさせてはいけない理由
「蜂蜜は1歳まで与えてはいけない」
よく聞きますが、なぜ与えてはいけないのかご存知でしょうか?
2017年4月7日、東京都は生後6カ月の男児が食中毒で死亡したことを発表しました。
家庭で与えた市販の蜂蜜にボツリヌス菌が含まれ、乳児ボツリヌス症を発症したとされています。
ボツリヌス菌とは?
ボツリヌス菌とは、土壌、海、湖、川などの泥砂中に広く分布している細菌です。
栄養分が多く酸素のないところを好み、増殖します。
顕微鏡で見たボツリヌス菌
ボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素は、地球上で最も強い毒素と言われていて、計算上、VXガスの2万倍、サリンの20万倍の毒性があると言われています。
このボツリヌス菌が蜂蜜に混入する可能性が高いのは、みつばちが蜜を集める際に混入することがあること、生で蜂蜜を食べる習慣があることにあります。
ボツリヌス菌が人間の口に入る可能性があるのは蜂蜜だけではありません。
発酵食品、ハム、ソーセージ、缶詰、瓶詰食品にもリスクがあると言われています。
酸素のあるところでは増殖できない嫌気性菌で、芽胞と呼ばれる休眠状態(卵のように硬い殻で覆われた状態)に変化して、酸素のない環境になるまでじっと耐えています。
芽胞はとても抵抗力が強く、高温、低温、乾燥にも耐えることができ、100℃で10分間加熱しても完全に殺すことができません。
低酸素状態になると発芽・増殖が起こり、毒素が産生されます。
乳児ボツリヌス症とは?
ボツリヌス菌はほとんどの場合、芽胞状態で人間の口に入ることになります。
通常は胃液や腸液などの消化液で溶かしたり、腸内のビフィズス菌・乳酸菌・大腸菌がボツリヌス菌の芽胞を分解することで、食中毒を発症することはありません。
ところが、乳児の場合は消化器官が未熟で腸内環境も整っていないため、酸素がなく栄養分たっぷりの腸内でボツリヌス菌が増殖、食中毒を起こすことになります。
便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態、 哺乳力の低下、泣き声が小さくなるなど、麻痺症状になることが特徴です。
ほとんどの場合は適切な治療により完治しますが、対処が遅れた場合は今回の事故のように亡くなってしまう場合もあるのです。
おせっかいと思われても伝えるべき
クックパッドを見ると、健康に配慮してか、砂糖の代わりに蜂蜜を使ったレシピがたくさんあります。
蜂蜜は栄養があるから、砂糖よりも蜂蜜がいい!
そんなふうに与えている可能性もゼロではありません。
「蜂蜜は1歳まで与えてはいけない」
一般的な常識なのかもしれませんが、知らずに与えているお母さんやおばあちゃんがいるのかもしれません。
「そんなの常識」と思われるかもしれませんが、乳児をお持ちのお母さんに一度確認されてはいかがでしょうか?